日本全国各地に米軍基地は存在しますが、沖縄の基地の面積は全体の74%にあたり、本島全体の18,2%が、まだ中部地域では32,8%が基地で占められています。沖縄の基地は、他の基地と成り立ちが異なると、前田さんは言います。それは、「サンフランシスコ平和条約」により、これまでの日本本土の占領状態は終わったものの、沖縄の施政権は米軍に残され、「行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利」という条項が適用され、沖縄は日本から切り離されました。1972年の「沖縄返還協定」締結が取り交わされましたが、その後の「日米安全保障条約」で、「基地の使用」条項により米軍がのぞむ基地の継続使用が保障されつづけることになりました。その結果、沖縄県民が被った多くの米軍や米兵による被害などの状況は、マスコミもさまざまな内容を伝えていましたが、そこにある本質について、日米安保条約について取り上げられたものは目にしませんでした。
5月末の日米共同声明には、普天間の移設はキャンプ・シュワブ辺野古地区に長さ1800メートルの滑走路を設置すると明記されました。多くの人々は、米軍基地が存在するからこそ日本の平和は守られていると考えているのではないでしょうか。本当に、国外に移転が可能なのか、または基地を撤退させることができるのか、そのために日本がしなければならないことはどういうことなのか。その問いに答える考え方について、前田さんは、全国の人々に向けて発信しつづけていらっしゃいます。
まずは憲法に関して、自民党の結成については、軍備も含めて独自の憲法を持つことが綱領に書かれている。自民党が政権党であるときは、9条を守る護憲でもよかったが、これからは9条を変えないだけではなく、9条を具現化していく運動が求められる。読売新聞の調査でも、憲法9条を変えないという意見が多くを占めたが、民意による政権交代が実現し、これまでの解釈憲法を止めさせるだけの積極的護憲への取り組みが求められるとも言われました。
さらには、憲法を具現化するための法律「平和基本法」を制定し、非核三原則を明記、自衛隊の海外派兵、徴兵制、武器輸出の禁止など、今は何の拘束力もないこれらのことを定める必要がある。日米安全保障条約は、「win win」の立場で、両国共通の安全保障へと変えていき、日本は東アジア共同体の中で安心、安全を築いていくことが求められる。「核なき世界」を訴えるオバマ大統領が誕生し、アメリカでも政権が変わったことをチャンスに交渉すべきとも言われました。
生活者ネットワークは、憲法9条を変えない、平和基本法を制定することを政策として掲げ、その実現に向けて国政における取り組みをすすめていきます。また、今回の参議院選挙では、同じ考えを持ち連携できる人を送りたいと考えます。