2007年1月「9条世界会議」日本実行委員会が発足し、呼びかけ人には国内各界のリーダーが名を連ね、池田香代子(翻訳家)、新倉修(日本国際法律家協会会長)、吉岡達也(ピースボート共同代表)の3名が共同代表をつとめた。
4日のオープニングに向けて、会場までは長蛇の列ができ、予想をはるかに上回る人々が押し寄せ、会場に入りきらない大勢の人々は会場の外で自主的なイベントを行った模様。私は、やっとのところで会場の一番高いところに席をとることができた。まず以外だったのは、参加者が若者、小さな子ども連れの家族、高齢者のご夫婦など、男女、年代を問わず、幅広い層の人たちが集まったことだった。また、いかにも市民運動家という感じの人たちでもなく、本当にさまざまな人たちが参加していたという印象だった。
開会に際してピースボートの吉岡代表は、世界各国からおおぜいの人々が集まり、日本国憲法9条の価値を世界中に広げていくための国際会議が開催されたことは、歴史的なことだと評価し、平和な軍隊のない世界を実現するために、みんなで力を合わせていきたいといった内容の言葉を述べられた。世界平和に大きな功績を収めてきた、各国の代表者たちによる基調講演やメッセージ、アピールなどがつづき、一部の締めくくりは、法律家協会の有志を含む市民大合唱団による、ベートーベン交響曲第9番の演奏だった。
第二部は、各国のゲストスピーカーの講演と、高橋竹山、ナターシャ・グジー・亀渕友香などのアーティストによる演奏が交互に行われた。ゲストのひとりであるベアテ・シロタ・ゴードンさん、GHQにより書かれた日本国憲法の草案づくりに関わり、男女平等、特に女性の権利について定めた人である。彼女は、1946年2月に、マッカーサーから憲法の草案づくりを任命され、女性の権利に関する多くの国々の憲法を集めた検討したこと、参政権については当時の運動からの意見を反映させたものであるなど、7日間で草案を書き上げたことを報告した。また、当時の各政党からもGHQあてにさまざまな案が寄せられ、提案されたものも入っていることから、決して憲法は押し付けられたものではないと述べ、当時の国民はその内容を非常に喜んだことも述べた。最後に、第9条を世界の国々の憲法のモデルにしていくべきであると結んだ。
今回の「9条世界会議」の意味はとても大きなものだと感じた。これほどまでに、世界中の人々が日本の憲法9条を大きく評価していること、世界にとっても9条が必要な状況にあることをあらためて実感した。ひとり一人の言葉がとても重く、心に響いてきた。日本人として、憲法9条が持つ意味や価値について、あらためて考えるべきであると思う。