福祉優先のまちづくりに向けて

NPOの挑戦で、高齢者住宅を開設

2000年にスタートした介護保険制度は、住み慣れた地域での自立生活を保障するものでした。スタートしてから5年目を迎える今年、初めての法改正が行われました。
生活者ネットワークは、99年より5年間に亘り、介護保険によって高齢者の暮らしがどのように変化したか、調査を続けてきました。江戸川・生活者ネットワークのメンバーも区内で、介護保険を利用している方に協力をいただき、調査をしました。
その調査結果からは、サービスの質や量の課題はもちろん、現行の介護サービスだけでは解決できない問題も明らかになりました。そのひとつが、一人暮らしの高齢者の方の不安です。
江戸川区には現在、およそ1万4千人の一人暮らしの高齢者の方が暮らしていらっしゃいます。そうした方々は、必ずしも身体状況に問題がある方ばかりではありません。何とかご自分の力で、日々の暮らしを送っている方も少なくありません。介護サービスを利用するようになれば、様々な人がその方の住まいを訪れることもあり、外からの風が運び込まれ、地域社会から全く孤立するという状況は生まれませんが、一人で頑張っておられる方は逆に、引きこもりがちになることが心配されます。
昨年12月、こうした地域の課題を解決しようと、NPO法人が、区内に高齢者の共同住宅を開設しました。身体状況に不安はないが、子どもには世話をかけたくない、施設へは入りたくないが、一人暮らしはやっぱり不安だという高齢者が、集まって暮らすことで、互いに気遣い合い、支えあって自立生活を継続していくことを目指しています。
高齢期の課題に対して、このような住まい方の視点で取組む活動が、各地で少しずつ始まっています。
生活者ネットワークは、今回の共同住宅開設にあたり、NPO法人が直面した、資金の問題や管理・運営面での課題解決のために、支援を続けてきました。
江戸川区には現在、約80の団体がNPO法人として活動しています。こうした団体の活動を支援し、広げていくために、生活者ネットワークは新しい税制改革を提案しています。都民税の1%を基金とし、納税者が指定するNPO事業にそれらを使っていこうというものです。生活者ネットワークは、地域の力、市民の力を応援する税制改革実現が今必要だと考えています。