1989年に、「食の安全を確保する直接請求」に取り組む活動が行われ、55万筆を越える署名の提出により、市民が東京都に食品安全条例の提案を行いました。江戸川区においても、生活クラブ生協をはじめ、生協のメンバーが中心となり、5000筆をこえる有権者の署名を集めました。その結果は、残念ながら条例案は都議会において否決となり、制定にはつながりませんでしたが、東京都の食品安全に関わる予算は倍増し、食品安全を求める消費者の視点の重要性が明らかになりました。
この直接請求運動により、生活の中の課題や問題が、政治につながっているという認識をあらためて確認し、身近な議会に直接市民の声をつなげていくことの実感をもつことにもなりました。江戸川・生活者ネットワークは翌年1990年に設立しましたが、この運動が大きなきっかけになったともいえます。こうした経過がある中で、食品安全に関する政策は、常にネットの基本的なものになっており、議会活動や地域活動など、あらゆる所で行政や市民にも働きかけてきました。
つい先日も、国内で8頭目のBSE感染牛が見つかり、新たな不安が広がっています。ここ近年、遺伝子組み換え食品の問題や、食品の偽装表示事件、輸入野菜の農薬事件など、さまざまな食品問題がもちあがり、消費者として、食の安全性を求める権利の確保が重要になってきています。
昨年の都議会における、生活者ネットワークの質問に対し、石原都知事は「食品安全条例制定」の意を表明し、来年の3月の都議会での制定が予定されています。
今江戸川区議会で、私たちの主張である「食の安全は全ての都民の権利である、という考え方をベースに、遺伝子組み換え作物・食品に関する施策や、子ども基準などの独自基準の設定、予防原則の考え方を取り入れた食品の安全性評価などを盛り込む」意見書を東京都に提出しようと、発議案を出しましたが、自民党などが難色を示しており意見書採択の見込みは、今のところありません。12月議会まで、なんとしても意見をまとめていきたいと思っています。